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有機スズ化合物について

①有機スズ化合物と各国の規制
有機スズ化合物は性質と用途によって分類され、それぞれを四つの一般式:R4Sn、R3SnX、R2SnX2、RSnX3で表すことができます。Rはアルキル基、Xは塩化物、フッ化物、酸化物、水酸化物等の陰イオンを表します。各種有機スズ化合物の中では、アルキル基二個が結合した二置換体と、アルキル基三個が結合した三置換体が最も広く使用されています。
有機スズ化合物の主たる用途としては、二置換体は一部を除いては毒性・抗菌活性が低く、ポリ塩化ビニル(PVC)製水道管を含むプラスチック製品の安定剤、触媒、ポリウレタンの製造、シリコーンゴムの硬化剤等に広範囲に使用されています。
三置換体、すなわち三置換有機スズ化合物は非常に毒性が高く、強力な殺菌剤や殺菌剤として使用されています。その中で、トリブチルスズ(TBT)は材木の防腐剤、布や紙、木材パルプ、ビール醸造、冷却機の殺菌剤等に利用され、トリフェニルスズ(TPT)は抗真菌塗料の活性成分として利用されて来ました。その他の三置換有機スズ化合物は殺ダニ剤(ダニ駆除薬)等として使われて来ました。

三置換有機スズ化合物に含まれ、トリブチルスズ誘導体の一種でもある酸化トリブチルスズ( Tributyltin oxide、略称TBTO)は、フジツボなどの付着生物を船体から除去する船底塗料や漁網防汚剤、農業用殺菌剤として使用されていました。しかし、その毒性が極めて高く、かつ内分泌かく乱物質の疑いが濃厚であることから、2001年に国際海事協会が船舶へのTBTO系塗料の塗布を禁止、2008年から同系塗料を使用した船舶(コーティングなどで溶出防止措置を施した船舶を除く)の航行を禁止しました。

次に、各国の有機スズ化合物に対する規制について述べます。

・EU欧州連合
REACH規則とは、EU欧州連合が人の健康や環境保護のために定めた、化学物質とその使用の管理に関する欧州連合規則のことを言います。欧州連合における規則の内容は各加盟国の国内法に優先するとされています。ECHAがその使用を特に懸念している化学物質を、高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern)と呼んでいます。有機スズ化合物では、トリブチルスズ(TBT)がSVHCとして登録されています。

欧州有機スズ規制については、REACH規則・附属書XVIIの有機スズ化合物の制限も参照する必要があります。これに関する当初指令76/769/EECの追加としての、委員会決定2009/425/ECの内容を以下に示します。

(1)三置換有機スズ化合物
2010年7月以降は、既に上市されている場合を除き、製品またはその一部に、スズの重量比率で0.1%(1000ppm)を超える濃度のトリブチルスズ(TBT)化合物とトリフェニルスズ(TPT)化合物を含む製品は使用禁止。

(2)ジブチルスズ化合物(DBT)
2012年1月以降は、既に上市されている場合を除き、一般消費者に供給するための混合物または成形品中には、スズの重量比率で0.1%を超える濃度のDBT化合物を含む製品は使用禁止。
ただし、以下の成形品や混合物では2015年1月までは適用されない。
(a)1成分形と2成分形の室温硫化シーラント(シーリング剤)と接着剤
(b)製品に使用する時には触媒として使用するDBT化合物を含んだ塗料と被覆剤
(c)軟質ポリ塩化ビニル(PVC)単独か、硬質PVCと共押出されて表面を覆われている軟質PVC
(d)屋外用途のために安定剤としてDBT化合物を含んでいるPVCコーティングされた織物
(e)屋根や正面を覆う製品と同様な野外の雨樋、溝およびその用品

(3)ジオクチルスズ化合物(DOT)
2012年1月以降は、既に上市されている場合を除き、製品またはその一部に、スズの重量比率で0.1%を超える濃度のDOT化合物を含む製品の使用を禁止。

・日本
TBTは化学物質審査規制法の第一種特定化学物質または第二種特定化学物質環境に指定されており、規制が行われています。さらにグリーン調達調査共通化協議会(JGPSSI)のガイドライン(JIG)では、一部のTBTおよびTPTについては意図的含有の無いことと規定されています。
また、全国漁業協同組合連合会および全国かん水養魚協会は、消費者団体からの要請に応じて同物質の使用自粛を決めています。三置換有機スズ化合物は、安全性の観点から、現在は、日本での製造も使用もしていません。

②対策
自社製品が各国の有機スズ化合物に関する規制に適合しているかどうかを、あらかじめ確認しておく必要があります。このため、いわゆる環境分析の一種としての製品中の化学物質の含有量測定が不可欠であり、測定機を有する外部業者に測定を依頼するのが一般的です。
材料中に含まれる各物質の詳しい含有量を測定するためには、いわゆる精密分析が必要とされています。有機スズ化合物分析や三置換有機スズ化合物分析には、GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析)が一般的に用いられています。

 

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